住まいづくり 2024-11

雪に強い家づくり

北陸で生活するうえで避けて通られないのが冬の雪。ご存じの通り石川県に降る雪は水分を多く含んだ重たい雪が多くなります。そんなエリアでより快適な住まいづくりをするには、厳しい冬の気候に対応した設計をすると安心です。大雪が降る地域では、住宅の構造や設備が冬場の雪を想定することも多く、温暖な地域の家とは異なる工夫が施されています。ここでは、雪国ならではの住宅の特徴と、家づくりの際に注意すべきポイントについてご紹介します。

 

屋根の形状と積雪対策

雪国の住宅の屋根は、積雪による圧力から家を守るために急な傾斜を持つことが一般的です。急勾配の屋根は、積もった雪が自然に滑り落ちるため、雪の重みで屋根が壊れるリスクを減らします。また、屋根に雪が溜まることなく落ちるため、雪かきの手間も少なくて済みます。ただ、隣家との間が狭い場合は落雪が隣人トラブルとなる可能性もありますので設計時に配慮が必要です。

近年では、「融雪式住宅」も増えており、太陽光や燃料を利用して屋根を温め、雪を溶かす仕組みが取り入れられることもあります。これにより、屋根に積もった雪を融かす手間が省けます。

 

複層建ての住宅設計

雪が積もると、地面に積もった雪が住宅の周囲を埋めてしまい、低層部分に日光が届かなくなります。これを避けるため、雪国では住宅の居住空間を2階以上に設けることもあります。2階以上の住空間は、雪の影響を受けにくく、日光を取り入れやすくなります。

 

高気密・高断熱で冬の寒さに対応

雪国の家づくりでは、高気密・高断熱の設計が非常に重要です。高気密とは、家の隙間をできるだけなくし、外気の侵入を防ぐことを意味します。高断熱は、断熱材を使って外の冷気を遮断し、室内の暖かさを保つ方法です。この二つを組み合わせることで、冬の寒さから守られた快適な室内環境が保たれます。特に雪国では、寒冷地専用のガラスやサッシが使われることが一般的です。例えば、複層ガラスや樹脂サッシなどは、熱の伝導を抑え、室内の温度を維持するために効果的です。

 

屋根の積雪荷重を考慮した設計

多雪地帯では、屋根に積もる雪の重さ(積雪荷重)を考慮することが非常に重要です。雪の重さは非常に大きく、屋根の構造がこの重さに耐えられるように設計する必要があります。積雪荷重を計算する際には、地域ごとの積雪量を考慮し、それに対応できる屋根の強度が確保されます。屋根だけでなく、バルコニーや庇(ひさし)などの部分にも積雪荷重がかかるため、それぞれの部分が適切に設計されることが求められます。

また、車のカーポートも耐雪性能の高いカーポートを選ぶと安心でしょう。

外壁素材の選択と凍害対策

雪が屋根から滑り落ちる際に外壁に当たることがあり、外壁に接触した雪が凍結することで「凍害」が発生する可能性があります。凍害は、外壁の素材が水分を吸収し、凍結と融解を繰り返すことで劣化を引き起こす現象です。このため、雪国では凍害に強く、長期間でも使用できる耐久性が高い素材を選ぶことも必要です。

 

 

まとめ

石川の冬は悪天が続くため、どうしても家での滞在時間が長くなります。そのため雪に対応するために、屋根の形状や高気密・高断熱、積雪荷重の計算などはもちろん、さまざまな工夫をして快適に冬場を過ごせる住まいづくりをすることでより充実した生活が送れます。雪国ならではの住宅設計を考える際は、これらのポイントをしっかりと確認し、専門家のアドバイスを受けながら、最適な家づくりを進めていきましょう。

 

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